相次ぐ電力の入札不調…入札市場から社会情勢を読み取ろう
競争入札において、応札する事業者がおらず入札が成立しないことを「入札不調」と言います。
最近では、国の庁舎やトンネルなど公共施設の電力の入札案件に電力会社が参加せず、入札不調となるケースが相次いでいるようです。
2022年4月1日〜4月25日までの入札王の落札の検索結果からも、電力の入札不調が読み取れました。
どうしてこのようなことが起こっているのでしょうか。
エネルギー市場価格の高騰による問題
2016年4月に電気事業法が改正。電力の小売が全面自由化され、さまざまな企業が電力の小売販売に参入できるようになりました。
すべての消費者は、新電力会社(登録小売電気事業者)を含む電力会社や料金メニューを自由に選択することが可能になり、電気料金が安くなるというメリットが生まれました。
しかし、昨今のウクライナ情勢による原油・液化天然ガスの相場高騰によるエネルギー需要のひっ迫、市場価格の高騰で電力の調達コストが膨らむという問題が出てきました。
そのことにより、新電力を含む各電力会社の収益が大きく圧迫されています。
増加する新電力会社の倒産
帝国データバンクの「新電力会社」倒産動向調査によると、新電力会社の2021年度の倒産は過去最多の14件で、2021年4月時点で営業が確認できている新電力706社のうち、約4%にあたる31社が1年の間に倒産や廃業、事業撤退などを行ったことがわかったそうです。
参考:帝国データバンク
倒産した新電力会社の多くは自前の発電所を持たず、調達の多くを卸市場に依存していたことも理由のひとつとして挙げられています。
法律で設けられている「最終保障供給」とは
入札で不調となった場合や、電力の一時停止をすると連絡を受けた場合には、再入札を行ったり例外的に個別に交渉したりするなどして契約先を探します。
「契約できないと電力が停止されてしまうの?」と心配になるかと思うのですが、法律で定められた最終保障供給という制度があるため、急に電力が供給されなくなるということはありません。この制度は、どの電力会社とも契約を結ぶことができなかった場合に、希望すれば管内の大手電力会社と契約を結べるというものです。
しかしこの契約は、通常の電気料金のメニューよりも2割ほど高く設定されているそうです。
いかがでしたでしょうか。
エネルギー資源価格の高騰は、日本だけではなく世界全体においても深刻な問題となっています。今後の動向を注視していきたいですね。
このように入札市場を見ると社会情勢が読み取れることもあります。
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